賃金のデジタル払い

■賃金のデジタル払い

労働基準法では、賃金は現金で支払うことが原則になっており、従業員が同意した場合に、銀行口座への
振り込みなどでの支払いが認められてきました。

・2023年4月～
キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化のニーズに対応するため、従業員の同意を前提に、
一部の資金移動業者※の口座への賃金支払いも認められることになりました。

※厚生労働大臣が指定した資金移動業者のみです。
指定された資金移動業者一覧は指定後に厚生労働省ウェブサイトに掲載される予定です。

■デジタル払いの注意点

・現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払いは認められない
・全ての労働者の現在の賃金支払い・受け取り方法の変更が必須となるわけではない
・労働者が希望しない場合は、これまで通り現金口座などで賃金を受け取ることができる
・雇用主は希望しない労働者に賃金のデジタル払いを強制してはいけない
※賃金の一部を指定資金移動業者口座で受け取り、その他は銀行口座などで受け取ることも可能です。

■導入時の対応

以下の手続きが必要になります。

① 指定資金移動業者の確認
② 導入する指定資金移動業者のサービスの検討
③ 労使要諦の締結等
④ 従業員への説明
⑤ 従業員の個別の同意取得
⑥ 賃金支払いの事務処理の確認・実施

銀行口座への振り込みの場合と比較すると、
労使協定の締結が求められるという点が異なりますが、それ以外の手続きはほぼ同一です。

■指定を受けた資金移動業者

賃金のデジタル払いが認められる、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者　→　1社（令和6年8月9日）
指定資金移動業者　→　PayPay株式会社（労働者指定口座の受け入れ上限額は、20万円です。）

■今後の影響

指定資金移動業者が増えることにより、メディア報道の増加、従業員のニーズの高まりも予想されます。
企業が支払うことになる指定資金移動業者への手数料も低額や無料となる可能性もあり、
企業としても銀行口座への振り込みよりもメリットが出てくるかもしれません。