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【キャリアアップ助成金 正社員化コース】令和4年10月以降、注意したいポイント?!
突然ですが、皆さんはキャリアアップ助成金について、ご存知でしょうか?
これは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成されるものです。
その中の『正社員化コース』は、特に有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換又は直接雇用することを1つの要件として申請できる助成金となります。
とても活用の機会が多い助成金の1つといえますが、今年令和4年10月1日に改正されました。
過去すでにご活用になられた方も多くいらっしゃるかと思いますが、今回の主な改正ポイントをご紹介していきたいと思います。
※大前提といたしまして、今回の改正は令和4年10月1日以降転換する正社員を対象としています。
正社員化コースでは転換後6か月間の継続雇用が要件となりますので、そのため、実際に支給申請に影響が出てくるのは令和5年3月以降となります。
それまでに準備を進め、万全を期して申請に臨めるよう、ぜひご参考ください!
◆令和4年10月1日 キャリアアップ助成金 正社員化コース変更内容
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まず始めに、改正内容を見ていきたいと思います。
・転換等した後の正規雇用労働者は、賞与または退職金制度の実施および昇給の実施が規定されている就業規則等が適用されていること。
・正規雇用労働者への転換等した後に試用期間を設けている場合、正規雇用労働者に転換等したものと見なさない。
・転換前の雇用区分について、賃金の額又は計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等が6か月以上適用されていること。
・・・これらの変更点はどういうことでしょうか?
今回は、『正社員定義の変更』、『非正規雇用労働者の要件』、『正社員転換後の試用期間』、『その他の関連する法律』にそれぞれフォーカスして、改正内容の一部をご説明していきたいと思います。
◆正社員定義の変更
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【正社員定義の新旧比較】
これまで、転換後の正社員についてはざっくり申し上げますと、『期間の定めのない労働契約により、週の所定労働時間が同じ事業所の正職員と同じ』であることを指していましたが、今回の改正により、「賞与または退職金の制度」を適用し、かつ「昇給」の制度が適用される者という要件が付け加えられました。
そして、これらは就業規則に明記することを求められています。
また、規定する際には支給時期を具体的に明示することが望ましいとされていますが、『賞与は原則として支給するが、「業績如何によっては不支給」』とすることが記載されている場合でも、これを以て支給対象外となるものではありません。
もちろんこれらは規定するだけで足りるものではなく、例えば賞与については、6月に賞与支給と明記されているにも関わらず、実際には支給されていないなどの場合は労働局から合理的な説明を求められることがあるとされます。
但し、正社員化コースにおいては、「勤続1年間経過後に賞与の支給対象となる」といった採用、転換直後の支給が期待されない制度であっても、その支給の有無が当該転換者に限った不利益取扱いでなく、正社員として採用された者と同一の待遇として規定しているのであれば、支給対象となり得ます。
(※キャリアアップ助成金には、処遇改善コースという別コースもあり、そこでも賞与に係る要件があるため、あえて「正社員化コースにおいては」と記載しています。)
形骸的な就業規則への規定では無く、実態としてその制度を導入しているかがとても重要となるといえます。
つまり、もし賞与制度を選択し、正社員化コースの支給申請を計画するのであれば、申請前の制度設計を慎重に行う必要がある、ということです。
◆非正規雇用労働者の要件
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次に、非正規雇用労働者の定義についてです。
【非正規雇用労働者要件の比較】
令和4年10月1日以降の転換より、非正規雇用労働者に、雇用区分の異なる就業規則を転換前6か月間以上適用することが要件となりました。
これは、『パートタイマー就業規則』であったり、『有期契約労働者就業規則』を正社員用の就業規則とは別に設けなければならないというものです。
この『非正規雇用労働者に適用される就業規則』の要素としては、大まかに次のものが挙げられます。
・基本給、賞与、退職金、各種手当等にて、いずれか一つ以上で正規雇用労働者と賃金の額または計算方法が異なる制度を明示的に定めていること。
・有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する場合は、就業規則等上に「契約期間の定め」がされていること。(※「雇用契約期間は1年以内とし、個別に定める」等でも可とされます。)
・正規・非正規で一体となった就業規則の場合、「雇用形態」等の条文において、「正社員」「契約社員」「パート」が区別して規定されている場合は、「正規」「非正規」で区別されているものと見なすため、支給対象となり得ます。
正社員や非正規雇用労働者の要件は、就業規則で判断できることを求められます。就業規則には「個別の雇用契約書で定める」と記載し、各従業員と賃金の額または計算方法が正社員と異なる雇用区分の雇用契約を締結している場合などは、実態として労働者にとっては同じであったとしても、支給対象外されてしまいますので、注意が必要です。
『キャリアアップ助成金 正社員化コース』の続きとなる次回は、年明け1月の発信予定となります。
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