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応募者に対し、採用面接時の録画・録音、面接内容をSNS等に載せることを禁止してもよいか

採用面接時に、応募者が面接内容を『無断録音』『SNS拡散』するケースが増えています。この行為を禁止することについての考え方・方法について、ご説明いたします。

 

◆無断録音する行為自体は法的に問題なし
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話す人の承諾を得ないで行う録音を、一般的に、『無断録音』や『秘密録音』などといいます。無断録音の違法性については、①無断録音を行うこと、➁無断録音した音声を一般に公開することを分けて考える必要があります。

 

①無断録音を行うこと

無断録音を行うこと自体は違法ではありません。面接の様子を無断録音しても、それ自体は法的に問題のない行為です。また、無断録音した音声を証拠として、交渉や訴訟などでハラスメントを立証することも法的に問題ありません。

 

②無断録音した音声を一般に公開すること

無断録音した音声を一般に公開すると、話した人や企業が特定できる場合には、法的な問題が生じることがあります。具体的には、公開した録音内容が話す人や企業の社会的評価を低下させる場合には、名誉棄損が成立する余地がありますし、社会的評価を低下させない場合でも、プライバシーの侵害に当たる余地があり、不法行為が成立する可能性があります。『公開することが公共の利害に関係するか』『公開する目的が専ら公益を図ることにあるか』という視点で考える必要があります。

 

◆無断録音・SNS掲載の禁止について
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施設管理・情報管理の一環として、禁止することは可能です。

 

採用面接の様子や質問内容が録画 ・録音され、それが外部に流出すれば、将来の採用活動に大きな支障となることが想定されます。これは、面接内容がSNS等で発信された場合も同様です。採用面接が企業施設内で行われる場合は、企業が有する施設管理権の一環として、録画・録音媒体を面接室へ持ち込むことを禁止したり、企業施設内での録画・録音を禁止したりすることができます。

 

また、採用面接がオンラインで行われる場合の録画・録音や、面接内容をSNS等に載せることについても、それらを禁止することには企業の情報管理上の必要性・合理性が認められます。ただし、応募者との間ではまだ労働契約関係は存在しないため、従業員に対する業務命令のように、これらの行為の禁止を一方的に命じることはできません。

 

よって、これらの行為の禁止に法的拘束力を持たせるには、応募者から、禁止事項を明示した誓約書等を提出させたり、録画・録音や面接内容をSNS等に載せないことを誓約させ、これを採用面接実施の条件としたりするなどの方法により、録画・録音・投稿等の禁止について双方で合意しておく必要があります。会社を守るためにもそういった対策をされることをお勧めいたします。