お知らせ
労働基準法の適用除外について、ご存知ですか?
先日NHKの番組で家事代行サービスの急拡大に係る問題が取り上げられていました。
『家政婦さん』ってそもそも労働基準法で守られるのか、ご存知ですか?
現代の家事代行サービス
『家事使用人』というと、昔は住み込みのお手伝いさんや、某ドラマが代表するような、家政婦紹介所から派遣されてくる家事代行を請け負ってくれる方というイメージが一般的だったかと思います。
ところが現代では、マッチング形式で、スマホのアプリ操作一つで申し込むことができる代行サービス事業が急拡大しています。簡単にいうと、コロナ禍で急成長したウーバーイーツのような形式です。
家事代行サービスを提供したい側と、サービスを受けたい側がアプリなどを通して、日時の空きや場所等の条件がマッチングすれば契約成立という、画期的なものです。
先日NHKであった番組では、『薬の瓶のふたを開けて欲しい』や『布団を干していたら落ちてしまったので、雨が降る前に拾って欲しい』など、とても身近な理由からサービスを利用しているケースが紹介されていました。
もちろんお掃除をしてほしい、料理をしてほしいという、私もイメージするようなサービスで活用されているケースもありはしますが、現代の家事代行サービスはファストフード的な進化を遂げているんだな、と感心してしまいました。
利便性が高まり、お金を稼ぎたい人とサービスを受けたい人のニーズが合致し、よかったよかった・・・?
さて、皆さんは家政婦さんやこういった家事代行サービスの提供者、労働基準法で『家事使用人』と呼ばれる方が、法律の保護を受けられない場合が多いことを、ご存知ですか?
労働基準法における家事使用人の立ち位置
労働基準法では、次のような定めがあります。
- この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。(労働基準法第116条第2項)
家政婦さんなどの家事使用人は労働基準法を適用しないという条文になります。但し、全ての家政婦さんなどの家事使用人を適用除外するかというと、そうでもありません。
労働基準法では家事使用人を更に2つの分類に区分します。
①個人の家庭において、その家族の指揮命令のもとで家事全般に従事している者。雇い主が個人である場合はもちろんのこと、法人に雇われ、その役員などの家で家事を行う場合も含みます。(訪問先と直接契約を結び、労務の提供を行うケース)
②個人家庭における家事を事業として請負う者に雇われて、その指揮命令のもとに当該家事を行う者。(家事代行の依頼を受けて、雇用する従業員を訪問先へ派遣し、労務の提供を行うケース)
このうち、①に該当する家事使用人が労働基準法においては適用除外となります。
労働基準法では、“労働時間、休憩時間”や“賃金”、他、弱い立場の方を危険な業務に就かせないことなどが定められています。更には、安全衛生法という職場環境や就労する上での危険を防止するための法律でも、『労働者=労働基準法上の労働者』とされています。
つまり、①に該当する家事使用人の方については、これらが適用されない、保護を受けられないということなのです。
最近では介護施設や病院でも、こういったサービスを利用される機会が高くなってきています。仲介業者からは、
「労働基準法を適用しないので、割増賃金の支払いは不要ですよ!」
「契約期間中休日を与える必要はないので、いつでも指示できます!」
このような形で売り込みがあったりもします。
しかし、私たちもいざご相談を受けると、労働基準法を適用すべき労働者に対しても、管理が適切になされておらず、業務を委託した側に労働基準法違反のリスクがのしかかってくるというようなリスクに直面することもあります。実際に問題になる前に、適切な労務管理をする上で、どのように捉えるべきなのか、とても難しいポイントです。
今回ご説明した事例についてもし利用される機会がある場合には、労務管理のプロである私たちみらいパートナーズへ一度ご相談頂ければと考えます。
詳しは無料相談へ→https://forms.gle/HqGhAziobZRTQa6r5