
顧客からの著しい迷惑行為が続くと、従業員の安全や通常業務に大きな影響が出ることがあります。
暴言や過度な要求のすべてが犯罪になるわけではありませんが、暴行、傷害、脅迫などに当たり得る言動が含まれる場合には、通常の苦情対応とは異なる判断が必要です。
ただし、逮捕の要否を企業や現場担当者が決めることはできません。
企業に求められるのは、危険を見逃さず、安全を確保し、事実を記録して必要に応じて警察へ相談できる体制を整えることです。
今回は、カスハラで犯罪に当たり得る言動と、企業が取るべき対応を整理します。
カスハラと逮捕にはどのような関係がある?
逮捕の判断は捜査機関が行う
カスハラに当たる言動があったからといって、必ず逮捕に至るわけではありません。
逮捕の必要性や犯罪に当たるかどうかは、個別の事情や証拠を踏まえて捜査機関が判断します。
企業が現場で行うべきことは、相手を犯罪者と決めつけることではなく、従業員や周囲の安全を確保することです。
危険な言動があった場合には、警察へ相談できるよう、記録と社内連携を整えます。
暴行や傷害に当たり得る行為
従業員や他の利用者を押す、殴る、物を投げる、設備を壊すなど、身体や財産へ危害が及ぶ行為は重大な問題です。
けがの有無にかかわらず、危険がある場合は対応者を相手から離し、周囲へ助けを求めます。
現場で説得を続けるよりも、安全な場所へ移動し、責任者や警察へ連絡することを優先する場面があります。
映像や写真を残す場合も、従業員が無理に近づいて危険を負わないように注意が必要です。
脅迫や強要に当たり得る言動
「危害を加える」「家族に何かする」など、生命、身体、名誉、財産に害を加えることを示す発言は、脅迫に当たり得る場合があります。
土下座を強要する、無理な金銭の支払いを迫る、従業員が断れない状況で不当な行為を要求するような言動にも注意が必要です。
相手の発言が怖くても、担当者が1人で対応を続けず、複数人で対応するか、責任者へ交代します。
発言の言葉をできるだけそのまま記録し、日時や同席者も残しておきましょう。

犯罪に当たり得る言動を受けたら何をする?
まずは人の安全を確保する
暴力や脅しがある場合は、顧客対応を続けることよりも、従業員や利用者を危険から遠ざけることが優先です。
対応者が1人の場合は、周囲へ知らせ、店長や責任者、警備担当などへ助けを求めます。
相手との距離を取り、出入口付近など逃げ場のない場所へ追い込まれないようにします。
緊急性が高いと判断される場合には、状況に応じて警察へ通報します。
事実と証拠を保全する
安全を確保した後は、相手の発言や行動、要求内容、対応した経緯を具体的に記録します。
日時、場所、連絡方法、対応者、同席者の有無を残すと、後から事実関係を確認しやすくなります。
防犯カメラ、録音、メールなどがある場合は、上書きや削除がされないよう社内ルールに沿って保全します。
記録には感情的な評価を加えず、見聞きした事実を中心にまとめることが大切です。
警察や関係部署へ連絡する
危害が及ぶおそれがある場合や、現場での対応が難しい場合には、警察への相談や通報を検討します。
社内では、現場責任者、本部、法務担当などへ情報を共有し、相手への回答窓口を一本化します。
個別の事案では、法的な手続きが必要になる場合もあるため、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも考えます。
誰が連絡し、誰が現場を支えるかを事前に決めておくと、緊急時の混乱を減らしやすくなります。

企業は再発防止のために何を整える?
危険な言動への対応方針を決める
暴行、脅迫、長時間の拘束など、特に悪質な言動に対してどのように対応するかを、あらかじめ方針として定めます。
警察への相談を検討する目安、対応を打ち切る判断、責任者へ交代する場面を示しておくと、現場担当者が迷いにくくなります。
業種や事業所の状況により必要な対応は異なるため、自社の顧客接点や人員配置に合わせて決めることが重要です。
方針は従業員へ周知し、実際に使える形にしておきましょう。
複数人で対応する体制を作る
危険な言動を受けた従業員が1人で対応を続けると、身体的にも心理的にも負担が大きくなります。
応援を呼ぶ方法、上席者が代わる基準、本部へ連絡する手順を決め、複数人で対応できる体制を整えます。
少人数の時間帯や訪問先での業務では、緊急連絡先や位置情報の共有方法も確認しておく必要があります。
日頃から訓練や研修で対応手順を確認することが、危険な場面での落ち着いた行動につながります。
対応後の従業員を支える
暴力や脅しを受けた従業員は、対応後も不安や緊張が続くことがあります。
会社は、対応者を責めるのではなく、けがや体調に問題がないかを確認し、必要に応じて担当の交代や休憩を取れるようにします。
相談内容を基に、同じ相手との接触を避ける必要がないか、勤務場所の調整が必要かも検討します。
事後の振り返りで見つかった課題を、マニュアルや人員配置の改善に生かしましょう。
まとめ
カスハラに関連して暴行、傷害、脅迫など犯罪に当たり得る言動があった場合は、従業員の安全を最優先にする必要があります。
逮捕の判断は捜査機関が行うため、企業は相手を決めつけるのではなく、事実を記録し、必要に応じて警察へ相談します。
危険な言動への対応方針、社内の連絡ルート、複数人で対応する体制を整えておくことが大切です。
対応後の従業員への配慮と、事案を基にしたルールの見直しも継続しましょう。
みらいパートナーズでは、カスハラの緊急時対応、相談体制、従業員を守る社内ルールの整理を支援しています。
現場で迷わず対応できる体制を整えたい場合は、ご相談ください。