営業、訪問サービス、建設現場などでは、自宅から訪問先へ向かい、会社へ戻らず帰宅する直行直帰があります。
事業所のタイムレコーダーを使わないため、始業・終業時刻をどこで記録するかが課題になります。
また、自宅から訪問先への移動、現場間の移動、待機、帰宅後の報告を一律に処理すると、実態と勤怠記録が合わない場合があります。
勤怠管理システムの機能を選ぶ前に、業務の流れと労働時間の境界を整理することが重要です。
今回は、直行直帰の勤怠設定と申請・承認の進め方を解説します。
直行直帰の労働時間はどこから?
自宅と最初・最後の訪問先の移動
自宅から最初の訪問先へ向かい、最後の訪問先から帰宅する時間は、通常の通勤と同様に、移動中の過ごし方が本人へ委ねられていれば労働時間に当たらないことがあります。
ただし、会社へ集合して資材を積む、指定時刻に同僚を乗せる、移動中に業務上の対応を指示されるなど、使用者の指揮命令下にある場合は扱いが異なります。
「直行」「直帰」という名称だけで決めず、移動中の義務、指示、自由利用の可否を確認することが必要です。
訪問先や現場の間を移動する時間
勤務を開始した後に、会社の指示で訪問先や現場の間を移動する時間は、業務に必要な移動として労働時間に含まれることがあります。
システムで訪問先ごとの作業時間だけを登録すると、移動時間が記録から抜ける可能性があります。
移動を独立した勤務区分にするのか、始業から終業までの連続した労働時間として扱うのかを決めましょう。
休憩を自由に取れる時間と、運転や次の訪問に備えて待機する時間も分けて確認します。
待機や帰宅後の報告
訪問先からの指示を待ち、すぐに対応することを求められている時間は、自由に利用できる休憩とは扱いが異なります。
また、帰宅後に日報入力や顧客への連絡を行うよう指示している場合、その作業時間も確認が必要です。
終業打刻を帰宅時に固定すると、最後の訪問先から自宅までの移動まで含めたり、帰宅後の作業を漏らしたりする可能性があります。
訪問予定の間に空き時間が生じた場合も、行動の制約と自由利用の程度を確認しましょう。
どの業務を終えた時点で打刻するか、追加作業はどう申請するかを具体的に定めます。

勤怠管理システムでは何を設定する?
事業場外でも使える打刻方法
スマートフォンやパソコンから打刻できれば、訪問先や現場で始業・終業を記録できます。
位置情報を使う場合は、不正防止だけを目的にせず、取得する時点、閲覧できる人、保存期間を明確にします。
常時位置を追跡する必要があるかは慎重に検討し、打刻時だけ取得する方法も選択肢です。
通信障害、端末の電池切れ、スマートフォンを持たない従業員への代替手段も用意し、記録できない状況を本人任せにしないようにします。
直行直帰と修正の申請
予定表に直行直帰を登録し、上司の承認後に勤怠へ反映する方法があります。
当日の訪問先変更や急な直帰が発生した場合は、誰へ連絡し、どの期限までに申請するかを定めます。
打刻を忘れた場合も、管理者が時刻を推測して入力するのではなく、本人が実際の業務開始・終了を申告し、根拠となる予定や記録とともに承認する流れが必要です。
代理打刻を避け、修正した人、承認者、理由が履歴に残る設定を確認しましょう。
給与計算につながる勤務区分
直行直帰の日も、所定時間、時間外労働、休日労働、深夜労働を区分し、給与計算へ正しく渡す必要があります。
移動や待機の扱いが部署ごとに異なると、同じ働き方でも集計結果が変わります。
就業規則や賃金規程、雇用契約と照らし合わせ、勤務区分と申請項目を統一します。
日をまたぐ移動や出張を伴う場合は、通常の直行直帰と分けて例外処理を定め、試験計算で割増賃金や手当への反映を確認します。

運用上の注意点は?
みなし労働時間制と混同しない
直行直帰を認めているだけで、事業場外みなし労働時間制が自動的に適用されるわけではありません。
同制度は、事業場外で業務に従事し、労働時間を算定し難い場合に適用を検討するものです。
スマートフォンを持っているかだけで一律に決まるのではなく、業務内容、指示や報告の方法、実際に時間を把握できるかなど、個別の事情を確認する必要があります。
実労働時間を把握できる運用なら、打刻や業務記録を基に管理します。
職種別に試験して説明する
営業、訪問業務、現場作業では、移動と報告の流れが異なります。
代表的な職種で、直行、直帰、現場間移動、待機、帰宅後作業を含む一日を試し、打刻と申請に漏れがないか確認します。
従業員には、打刻する場所だけでなく、どの行動を始業・終業として扱うかを例で説明します。
管理職には、申請の根拠、修正履歴、長時間労働のアラートを確認する役割を伝え、運用開始後も記録と実態の差を点検しましょう。
まとめ
直行直帰の勤怠管理では、通勤、業務上の移動、待機、帰宅後作業を実態に応じて区分し、事業場外でも正確に打刻・申請できる方法を整えます。
みなし労働時間制と混同せず、就業規則や給与計算との整合を丁寧に確認することが重要です。
みらいパートナーズでは、社会保険労務士と社内SEが連携し、直行直帰や出張を含む勤怠ルールの整理から、システム設定、申請承認、試験運用まで支援しています。
事業場外勤務の記録方法と給与への反映を見直したい場合は、ご相談ください。